エッセイ

ナナフシは“モドキ”だったという話と、どうでもいい思い出

ナナフシという虫の正式名称をご存じだろうか。何気なく呼んでいるその名前には、少し奇妙なズレがある。最初はただの雑学のつもりだったが、その違和感は思いのほか尾を引いた。似ているものと似せられたもの。オリジナルとモドキ。そんなことをぼんやり考えているうちに、なぜかまったく別の記憶がよみがえってきた。これは、ある虫の名前から始まる、どうでもいいようで少しだけ引っかかる話だ。
エッセイ

ビバノンノンか、ビバドンドンか——母と妹と温泉に行った日の話

月に一度の、ちょっとした楽しみ。母と妹と三人で、近場の温泉に出かけて、少しだけいいものを食べて帰る。そんなゆるい恒例行事が、いつの間にか続いている。その日は「たまには違うところに行こうか」という話になった。特別な計画があるわけでもなく、スマホで「日帰り温泉 ランチ付き」と検索しながら、のんびり行き先を決める。そんな中で、ふと思い出した場所があった。二十年ほど前に、一度だけ訪れた小さな温泉。